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分子生物学:PGRMC2は脂肪細胞の機能に不可欠な細胞内ヘムシャペロンである
Nature 576, 7785 doi: 10.1038/s41586-019-1774-2
ヘムは多数のタンパク質に不可欠な補欠分子族であり、多くの生理過程で働く重要なシグナル伝達分子である。ヘムの化学反応性は高いため、遊離ヘムによる細胞毒性を防ぐには細胞内シャペロンタンパク質のネットワークが必要だが、そのような輸送経路の構成要素は知られていない。ヘム合成は、フェロケラターゼがプロトポルフィリンIXに鉄を付加して、ミトコンドリア内で完了する。必須ではあるが非常に反応性の高いこの代謝物が、ミトコンドリアから細胞内の至る所にあるヘムタンパク質へと送達される仕組みはほとんど解明されていない。今回我々は、PGRMC2(progesterone receptor membrane component 2)が、不安定な、すなわちシグナルを伝達するヘムを核へ送達するために必要であることを示す。ヘムの需要が高い褐色脂肪でPGRMC2を欠失させると、核内の不安定なヘムが減少し、ヘム応答性の転写抑制因子Rev-ErbαとBACH1の安定性が増加した。その後に起こった遺伝子発現変化は、深刻なミトコンドリア異常を引き起こし、脂肪細胞特異的PGRMC2ヌルマウスは、適応性熱産生を活性化できず、高脂肪食を与えられた場合に代謝のより大幅な悪化が起こりやすくなった。これに対し、小分子のPGRMC2活性化剤を投与した肥満・糖尿病マウスでは、糖尿病の症状にかなりの改善が見られた。今回の研究は、ヘムの細胞内輸送にPGRMC2が持つ役割を見いだし、脂肪組織のヘムの動態が生理状態に及ぼす影響を明らかにし、PGRMC2の調整により肥満に関連した脂肪細胞の異常を改善できる可能性を示唆している。

