免疫学:カスパーゼ-8はアポトーシス、ネクロトーシス、ピロトーシスに対する分子スイッチである
Nature 575, 7784 doi: 10.1038/s41586-019-1770-6
カスパーゼ-8は外因性アポトーシスの開始カスパーゼであり、RIPK3とMLKLを介するネクロトーシスを阻害する。従って、マウスにおけるカスパーゼ-8欠損は胚致死を引き起こし、この致死性はRipk3かMlklのどちらかの欠失によって救済できる。今回我々は、マウスで、酵素活性を持たないCASP8(C362S)の発現が、ネクロトーシスとピロトーシスを誘導して胚致死の原因となることを示す。Casp8−/−マウスと同様に、Casp8C362S/C362Sマウスの胚は、心血管障害を引き起こす内皮細胞のネクロトーシス後に死亡した。Casp8C362S/C362SマウスにおけるMLKL欠損はこの心血管表現型を救済したが、意外にも周生期致死を引き起こし、これによってCASP8(C362S)が胚発生のより後期にネクロトーシス非依存的な死を引き起こすことが示唆された。腸上皮細胞でカスパーゼ-8の触媒活性を特異的に欠失させると、腸上皮細胞特異的Casp8ノックアウトマウスに類似した腸の炎症が誘導された。さらにMlklを欠損させてネクロトーシスを阻害すると、腸の炎症が著しく悪化し、腸上皮細胞でカスパーゼ-8触媒活性が特異的に欠失しているMlklノックアウトマウスで時期尚早な致死が引き起こされた。CASP8(C362S)の発現は、ASCスペックの形成、カスパーゼ-1の活性化およびIL-1βの分泌を誘導した。Casp8C362S/C362SMlkl−/−Asc−/−もしくはCasp8C362S/C362SMlkl−/−Casp1−/−マウスにおいて、胚致死と時期尚早な死亡は両方とも完全に救済されたことから、インフラマソームの活性化は、ネクロトーシス阻害時のCASP8(C362S)を介した組織病変を促進することが示された。このように、カスパーゼ-8は、アポトーシス、ネクロトーシスおよびピロトーシスを制御する分子スイッチであり、胚発生期および成体期の組織損傷を防いでいる。

