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化学合成:(−)-ビロバライドの簡便な不斉合成

Nature 575, 7784 doi: 10.1038/s41586-019-1690-5

イチョウ(Ginkgo biloba)の代謝物であるビロバライドは、ヒトによって広く摂取されているが、哺乳類の中枢神経系に対する影響は十分に解明されていない。ビロバライドの持つγ-アミノ酪酸A受容体(GABAAR)の拮抗作用が、ダウン症マウスモデルにおける認知障害の回復と関連付けられている。痙攣作用を示さずに神経保護作用を示すことから、別の未知の標的分子の存在が示唆されてきたが、ビロバライドが立体的に複雑で不安定なため、GABAAR以外の生物学的標的分子の特定は不可能であった。従って、簡便かつ柔軟にビロバライドを合成できれば、新たな標的を特定するプローブや、昆虫GABAARとヒトGABAARとで選択性が異なる誘導体、血清半減期の長い安定誘導体の開発が促進されると考えられる。今回我々は、ビロバライドの特徴的な反応性を活用して合成終盤での深部の酸化(deep oxidation)を可能とし、これによって分子コアを対称化して、出発物質に高い酸化状態を組み込むことを可能にした。同様の合成戦略が、ギンコライド類(一部はグリシン受容体選択的拮抗薬である)をはじめとするG. bilobaに含まれる類縁化合物に応用できる可能性がある。ビロバライドの化学合成によって、その新たな生物活性と治療薬としての可能性を探る研究が促進されるはずである。

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