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光合成:ホウレンソウのシトクロムb6f複合体の3.6 Å分解能でのクライオ電子顕微鏡構造

Nature 575, 7783 doi: 10.1038/s41586-019-1746-6

シトクロムb6f(cytb6f)複合体は、酸素発生型光合成で中心的な役割を果たしており、光化学系IとIIの間の電子伝達を連結し、太陽光エネルギーをATP合成のための膜を挟んだプロトン勾配へと変換する。cytb6f内での電子伝達はキノール(Q)サイクルを介して起こり、このサイクルはプラストキノール(PQH2)の酸化と、2つの離れた部位にあるプラストシアニン(PC)およびプラストキノン(PQ)の両方が二手に分かれた電子によって還元される反応とを触媒する。高等植物では、cytb6fは酸化還元状態を感知するハブとしても機能し、これは集光や循環的電子伝達の調節に非常に重要な役割を持っていて、代謝や環境から生じるストレスに対する防御機構となっている。今回我々は、ホウレンソウから得た二量体cytb6f複合体の3.6 Å分解能でのクライオ(極低温)電子顕微鏡構造を示す。この構造から、Qサイクルの働きやその酸化還元状態感知機能の構造基盤が明らかになった。この複合体は、自然に結合したPQ分子を最大で3つ含んでいる。1つ目のPQ1は、ヘムbpとクロロフィルaに近接したPQ酸化部位(Qp)で、1個のcytb6fモノマーに結合している。クロロフィルaフィチル尾部の2つのコンホメーションが解かれ、1つはQp部位への接近を防止する構造、もう1つはこの接近を可能とする構造で、これは、酸化還元状態感知に関わるクロロフィルaのゲート開閉機能を裏付けている。PQ2はモノマー間の空洞をまたぐように位置し、PQ1側のPQ還元部位(Qn)を部分的にふさいで、近接するモノマー中の占有されたQn部位で電子伝達ネットワークをターンオーバーさせている。ヘムcnプロピオン酸残基が関わるコンホメーション切り替えにより、Qn部位での2電子2プロトン還元が促進され、反応性の高い中間体であるセミキノンの形成が防がれる。暫定的に3つ目のPQとされた分子の位置は、Qサイクルの際に向かい合ったモノマー中のQp部位とQn部位の間の遷移と矛盾しない。従って、ホウレンソウcytb6fの構造は、この複合体が光合成においてその触媒と調節の役割を遂行する仕組みに関する新たな知見をもたらすものといえる。

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