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細胞生物学:脂質シグナル伝達はYME1Lによるミトコンドリアのタンパク質分解の再配線を引き起こす
Nature 575, 7782 doi: 10.1038/s41586-019-1738-6
ミトコンドリアの再プログラム化は、細胞に代謝的な柔軟性をもたらす。このような柔軟性は、幹細胞の活性化や免疫細胞の再プログラム化といったさまざまな発生的変化に適応したり、低酸素状態や腫瘍発生時に遭遇するような環境からの負荷に応答したりするために必要である。今回我々は、i-AAAプロテアーゼのYME1Lが、低酸素や栄養素の欠如に応答して、既存のミトコンドリアのプロテオームを再配線することを明らかにする。mTORC1を阻害すると、ホスファチジン酸ホスファターゼLIPIN1を経る脂質シグナル伝達カスケードが誘導され、これがミトコンドリア膜内のホスファチジルエタノールアミンのレベルを下げ、タンパク質分解を促進する。YME1Lは、ミトコンドリアのタンパク質トランスロカーゼ、脂質輸送タンパク質および代謝酵素を分解し、ミトコンドリア生合成を急激に制限して、細胞の増殖を支える。YME1Lによるミトコンドリアの作り直しは、膵管腺がん(PDAC)細胞のスフェロイドや異種移植片としての増殖を助ける。PDAC患者の腫瘍組織では、ミトコンドリアのプロテオームに同様の変化が見られるため、YME1Lがこれらの腫瘍の病態生理に関与していることが示唆される。これらの結果から、mTORC1–LIPIN1–YME1L軸が、代謝とミトコンドリア動態の境界における、ミトコンドリアタンパク質恒常性の翻訳後調節因子であることが明らかになった。

