材料科学:ソフトな人工筋肉で動くマイクロロボットの制御された飛行
Nature 575, 7782 doi: 10.1038/s41586-019-1737-7
非常に乱雑な自然環境を航行できる飛翔性昆虫は、慣性が小さいとともに、翅、外骨格、筋肉に復元力があるため、飛行中の衝突に耐えることができる。現在の昆虫スケール(長さが10 cm以下で、重さが5 g以下)の飛行ロボットは、マイクロスケールの剛性アクチュエーターを使っており、外部衝撃を受けると壊れやすい。大きく変形できる生体模倣人工筋肉は、そうした衝撃によって生じる応力に耐えられるため、飛行ロボットを動かす有望な代替手段になる。しかし、既存のソフトアクチュエーターはまだ、離昇を実現するのに十分な動力密度が実証されておらず、それらの作動が非線形で帯域幅が制限されているため、閉ループの(感覚フィードバックに基づいて調節される入力制御信号によって駆動される)飛行制御の実現には、さらに困難な課題が生じる。今回我々は、閉ループのホバリング飛行だけでなく、開ループの(フィードバックなしにあらかじめ決められた信号によって駆動される)受動安定な(飛行中に直立する)上昇飛行も実証する、ソフトな人工筋肉で動く空気より重い飛行ロボットを開発した。おのおのの重さが100 mgで、共振周波数が500 Hz、動力密度が600 W kg−1の多層誘電エラストマーアクチュエーターによって、このロボットは駆動される。我々は、アクチュエーターの機械出力を増やし、飛行制御を実証するために、非線形な変換や動的な座屈など、ソフトアクチュエーターに特有の困難な課題を克服する方法を示す。このロボットは、周囲の障害物との衝突を感知し、それに耐えることができるとともに、材料のロバスト性と飛行体の受動安定性を利用して、飛行中の衝突から回復できる。我々はまた、乱雑な環境中で2機のマイクロ飛行体を同時に飛ばした。これらの飛行体は、壁に衝突したり、互いに衝突したりしたが、損傷することはなかった。このロボットは、誘電エラストマーアクチュエーターへの電力供給をオフボード増幅器に、飛行制御を外部のモーションキャプチャーシステムに頼っている。今回の研究結果は、ソフトアクチュエーターがいかにして制御飛行を可能にするのに十分な動力密度と帯域幅を実現し得るか、その方法を実証するもので、次世代の敏捷なソフトロボットがを開発される可能性を例示している。

