Article

免疫学:抗体クラススイッチの際にクロマチンループ突出が果たす重要な役割

Nature 575, 7782 doi: 10.1038/s41586-019-1723-0

Bリンパ球で起こる抗体クラススイッチ組換え(CSR)では、免疫グロブリン重鎖座位(Igh)のCμという定常領域エキソン(CH)が、100~200 kb下流にある6つのCHの1つと置き替わる。各CHの上流には、Iプロモーターと反復配列を持つ長いスイッチ(S)領域が隣接している。サイトカインや活性化因子は、活性化誘導シチジンデアミナーゼ(AID)とIプロモーターからの転写を誘導し、3′ IgH調節領域(3′ IgHRR)エンハンサーが3′ IgHRRとの長距離にわたる相互作用をIプロモーターと競合することでIプロモーターからの転写を制御する。ドナーSμと活性化された下流のアクセプターS領域を介した転写は、AIDによって作り出された脱アミノ反応による損傷(数百ある個々のS領域脱アミノ反応モチーフのどれにでも起こり得る)を標的とする。一般的なDNA修復経路は、このような損傷を二本鎖切断(DSB)に変換し、Sμ DSBの上流側末端をアクセプターS領域DSBの下流側末端に連結することで、欠失を生じるCSRが起こる。活性化されたS領域全体にわたって存在する標的でAIDによって開始されたDSBは、欠失を生じるこのようなCSRの連結に常に関与している。今回我々は、IgH構成が欠失を生じるCSRをシスに促進する機構の基盤にあるのがクロマチンループ突出であることを報告する。ナイーブB細胞では、ループ突出により3′ IgHRRエンハンサーが200 kb上流のSμに動的に並置され、CSRセンター(CSRC)が作り出される。CSRが活性化した初代培養B細胞では、Iプロモーターからの転写がコヒーシンローディングを活性化し、これが欠失を生じるCSRのために下流のS領域をSμと方向性をそろえて並ばせる動的なサブドメインの形成につながる。CH12F3 Bリンパ腫細胞での構成的に活性化されたSα CSRの際には、突出経路にCBE(CTCF-binding element)を用いた障害を挿入することにより、逆位が生じるCSRを活性化できる。またCBEの挿入は上流のS領域CSRを不活性化し、隣接する下流配列を異所性のS領域に変換する。これは、CSRCでのSμとの動的な並置が上流のS領域では抑制され、異所性のS領域では促進されることによる。我々の知見から、CSRCでは、コヒーシンを介したループ突出が動的に妨害されることによって、AIDによって開始されたドナーおよびアクセプターS領域DSBの適切な末端が並置され、欠失を生じるCSRが起こると考えられる。このような機構はまた、ゲノム全体で見られる病因性DSB連結の一因であるかもしれない。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度