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がんゲノミクス:がんにおけるスプライシング異常を原因とした非カノニカルBAF複合体の破壊

Nature 574, 7778 doi: 10.1038/s41586-019-1646-9

SF3B1は、がんで最も高頻度に変異が認められるRNAスプライシング因子だが、SF3B1の変異がどのような機序で悪性腫瘍を促進するのかは、ほとんど知られていない。我々は、あらゆるがん患者におけるスプライシング異常の網羅的分析と増殖に不可欠な異常を抽出するCRISPRスクリーニングとを組み合わせて、SF3B1の変異が惹起するさまざまなスプライシング変化について、腫瘍の発生を促進する機構の探索を行った。本論文では、種々のSF3B1変異がいずれもBRD9を抑制することを示した。BRD9は、最近報告された非カノニカルBAFクロマチンリモデリング複合体の主要成分で、この複合体にはGLTSCR1とGLTSCR1Lも含まれる。SF3B1変異タンパク質は、BRD9遺伝子中でエキソンから遠く離れたイントロン領域の分岐点を認識し、その結果、内在性レトロウイルスエレメントに由来するイントロン上の「ポイゾンエキソン」がBRD9のmRNAに含まれることになって転写産物が分解される。SF3B1変異によるBRD9の枯渇が原因となり、CTCFの標的となる遺伝子座への非カノニカルBAF複合体の局在が阻害され、黒色腫の発生が促進される。BRD9はブドウ膜黒色腫の強力な腫瘍抑制因子であり、SF3B1変異黒色腫細胞に対してアンチセンスオリゴヌクレオチドやCRISPRによる変異導入を使ってBRD9のスプライシング異常を修正すると、腫瘍の増殖が抑制される。これらの結果は、SF3B1変異のあるさまざまな種類のがんに非カノニカルBAF複合体の破壊が寄与していることを示しており、機序に基づいてこれらの悪性腫瘍を治療できる可能性を示唆している。

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