Letter
ナノスケール材料:単一分子接合の熱コンダクタンス
Nature 572, 7771 doi: 10.1038/s41586-019-1420-z
単一分子接合は、電気伝導、発光、熱電エネルギー変換、量子干渉、熱放散、電子雑音といった多種多様な特性を原子スケールや分子スケールで調べるために広く用いられてきた。しかし、現在関心が集まっている重要な量である単一分子接合の熱コンダクタンスは、ピコワットレベルの微小熱流の検出が困難であるため、まだ実験的に直接測定されてはいない。今回我々は、以前に単一金属原子接合の熱コンダクタンスの研究のために開発したピコワット分解能の走査探針を、信号対雑音比を向上させる時間平均化測定方式と併せて用いると、単一分子接合のはるかに小さい熱コンダクタンスも定量化できることを示す。炭素原子数2~10個の典型的なAu–アルカンジチオール–Au接合に関する今回の実験から、熱コンダクタンスは第一近似では分子長に依存しないことが確認された。この結果は、詳細なab initioシミュレーションと一致している。我々は、今回の手法によって、コンピューターによる熱コンダクタンスの予測結果がまだ実験的に得られていない短い分子やポリマー鎖など、その他多くの一次元系における熱輸送の系統的研究が可能になると予想する。

