生物工学:de novoタンパク質スイッチを用いたモジュール型で調整可能なバイオロジカルフィードバック制御
Nature 572, 7768 doi: 10.1038/s41586-019-1425-7
de novo設計されたタンパク質は、合成回路の構成要素として大いに有望であり、また、天然のタンパク質を改変したタンパク質の使用を補完することができる。このようなデザイナータンパク質の1つであるdegronLOCKRは、LOCKR(latching orthogonal cage–key proteins)技術を使って作られており、遺伝学的にコードされた小型ペプチドによって起動されるとin vivoで目的のタンパク質を分解するスイッチである。今回我々は、degronLOCKRの持つプラグアンドプレイ的性質を活用して、内在性のシグナル伝達経路や合成遺伝子回路のフィードバック制御を行った。まず、酵母の交配経路でdegronLOCKR を内在性のシグナル伝達分子に融合させることにより負および正の合成フィードバックを作り出し、この戦略が複雑な内在性経路の再配線に容易に使用できることを明らかにした。次に、合成遺伝子回路上でdegronLOCKRによって仲介されるフィードバック制御を評価して、このフィードバック制御回路のフィードバック能と動作範囲を定量化した。今回設計されたdegronLOCKRタンパク質が持つ性質により、簡略で合理的な修正によって合成回路と交配経路の両方でフィードバック挙動を調整することが可能になった。生細胞内にフィードバック制御を組み込めるようになったことは、合成生物学が持つ可能性を最大限まで引き出すための重要な成果である。さらに広く見れば、本研究はバイオテクノロジーや治療への応用に細胞の複雑な合成機能を提供する手段の作製にタンパク質のde novo設計が持つと考えられる、未開発の大きな可能性を実証したものだ。

