がん:NKG2Dリガンドの欠損が白血病幹細胞を定義し、その免疫回避を仲介する
Nature 572, 7768 doi: 10.1038/s41586-019-1410-1
急性骨髄性白血病(AML)の患者は、治療後に寛解するもの、その後に化学療法抵抗性の白血病幹細胞(LSC)による再発で死亡することが多い。LSCは、免疫不全マウスでの白血病イニシエーション能により定義される。しかし、こうした定義には、LSCががんを誘導するために回避しなければならない抗腫瘍免疫の構成要素であるリンパ球との相互作用の解析は含まれていない。今回我々は、AMLでは幹細胞性と免疫回避が密接に結び付いていることを示す。我々はヒトAMLの異種移植と、白血病の同系マウスモデルを用いて、危険探知器として働くNKG2D(NK細胞のような細胞障害性リンパ球による抗腫瘍免疫の重要なメディエーター)のリガンドが、バルクのAML細胞では通常発現しているが、LSCでは発現していないことを明らかにする。LSCの特性を持つAML細胞は、AMLのCD34発現が陽性と陰性の両方の症例において、NKG2Dリガンド(NKG2DL)を発現していないことにより単離できた。NKG2DLを発現するAML細胞はNK細胞により除去されるが、同じ患者から単離したNKG2DL陰性白血病細胞はNK細胞による殺傷を回避した。これらのNKG2DL陰性AML細胞は未成熟な形態を示し、分子的および機能的に幹細胞性の特徴を持っており、再移植可能な白血病を連続的にイニシエーションし、患者由来の異種移植モデルで化学療法に打ち勝って生存できる。機構的には、PARP1(ポリADPリボースポリメラーゼ1)がNKG2DLの発現を抑制する。PARP1を遺伝学的あるいは薬理学的に抑制すると、LSCの表面上にNKG2DLが誘導されるが、正常細胞や前白血病細胞上には誘導されない。患者由来の異種移植モデルでは、PARP1阻害剤の投与と、その後のポリクローナルNK細胞の移入により、白血病発生が抑制された。まとめると、我々のデータは、LSCの概念を免疫回避に結び付けるとともに、治療抵抗性LSCを標的としたPARP1阻害によって、in vivoでNK細胞によるLSCの制御を可能にするという方法の強力な論拠となる。

