がんゲノミクス:腫瘍の系譜がBRCAを介した表現型を形作る
Nature 571, 7766 doi: 10.1038/s41586-019-1382-1
BRCA1とBRCA2の変異を持つ人は特定のがんになりやすいが、疾患特異的なスクリーニングや予防戦略は、こうしたがん患者のがんによる死亡率を低下させる。これらの古典的腫瘍抑制遺伝子は、体細胞性の両対立遺伝子不活性化と関連した腫瘍発生性の効果を示すが、ハプロ不全も腫瘍の形成やプログレッションを促進する可能性がある。さらに、BRCA1/2変異型腫瘍は、DNA二本鎖切断の相同組換え修復に欠陥があることが多いため、プラチナ製剤による治療とPARP(ポリADPリボースポリメラーゼ)阻害剤に対して高い感受性を示す。しかし、BRCA1やBRCA2の変異が表現型や治療にどう関係するかは、ほとんどのがんタイプでまだあまり分かっていない。今回我々は、BRCA1/2に生殖系列の病的変異のある進行がん患者の2.7%と、BRCA1/2に体細胞性機能喪失変異を持つ進行がん患者の1.8%において、両対立遺伝子の不活性化に対する選択圧、接合性依存的な表現型浸透度、PARP阻害への感受性は、BRCA1/2保有者のうち、遺伝的がんリスクの上昇と関連する腫瘍タイプ(BRCA関連がんタイプ)のみで観察されることを示す。逆に、BRCAが関連しないがんタイプの患者では、このようなBRCA1/2変異タイプの保有者の大半が、変異型BRCA1/2とは無関係な腫瘍病態を示す証拠が得られた。まとめると、変異型BRCAは一部のがんにとっては必須の重大な発がん事象であるが、他のがんではかなりの割合で生物学的に中立のように見える(違いは主として腫瘍の系譜によって条件付けされる)。これは、疾患の発症機序、スクリーニング、臨床試験の設計や治療法の決定に重要な意味を持つ。

