Volume 570 Number 7761

Editorial

世界の食糧安全保障を左右する国連食糧農業機関(FAO)の次期事務局長選挙では、各国は科学的根拠と透明性を重視して投票すべきだ。

Pick a leader with vision for the Food and Agriculture Organization p.275

doi: 10.1038/d41586-019-01902-3

News

コンゴ民主共和国のエボラ出血熱流行は隣国ウガンダにも拡大したが、WHOは引き続き緊急事態の宣言に慎重な姿勢を。

World Health Organization resists declaring Ebola emergency — for third time p.283

doi: 10.1038/d41586-019-01893-1

アフリカ科学アカデミー(AAS)が、アフリカ大陸初となる、データや標本の収集・保存・共有のための指針を作成へ。

Africa’s science academy leads push for ethical data use p.284

doi: 10.1038/d41586-019-01894-0

全身の3Dレンダリングを20秒程度で作成できる改良型PET(陽電子放射断層撮影)が登場。

Whole-body PET scanner produces 3D images in seconds p.285

doi: 10.1038/d41586-019-01833-z

中国全土でツマジロクサヨトウの幼虫による食害が広がり、天敵探しなど、科学界が対策に大わらわ。

Caterpillar’s devastating march across China spurs hunt for native predator p.286

doi: 10.1038/d41586-019-01867-3

元弘前大学教授の故佐藤能啓氏が起こした一連の重大な科学的不正行為の事例で、所属機関による調査の不十分さを指摘する分析結果が。

What universities can learn from one of science’s biggest frauds p.287

doi: 10.1038/d41586-019-01884-2

News Features

ウイルス学:ファージの秘密の社会生活

The secret social lives of viruses p.290

「微生物界の一匹狼」と長い間考えられてきたバクテリオファージは実は驚くほど社交的で、ファージの分子レベルの会話を感染症との闘いに利用する試みが始まっている。

doi: 10.1038/d41586-019-01880-6

CRISPRベビー:時代はいつ追い付くのか

CRISPR babies: when will the world be ready? p.293

遺伝する変化をヒトゲノムに導入する遺伝子編集は、時期尚早で不確定要素が多過ぎるが、この技術を安全で許容できるものにするために必要なものは何なのだろうか。

doi: 10.1038/d41586-019-01906-z

News & Views

材料科学:ナノチューブによる太陽光環境発電

Sunlight harvested by nanotubes p.310

今回、原子厚の半導体層を丸めてナノスケールのチューブにすることで、従来型太陽電池に必須の特徴である半導体接合を必要とせずに、太陽エネルギーを電力に変換できるようになった。

doi: 10.1038/d41586-019-01767-6

進化学:性染色体が配偶者選択を操る

Sex chromosomes manipulate mate choice p.311

一部の種の雌の配偶者選択では、雄に有害な形質が選択される。そうした配偶相手の選り好みがどのようにして進化したかを説明する今回の仮説は、性染色体に光を当てるものである。

doi: 10.1038/d41586-019-01714-5

材料科学:クレージングでできた色

Crazy colour printing without ink p.312

応力下でポリマーに微視的な孔やフィブリルが形成されるクレージングと呼ばれる過程は、材料破壊の前兆となることが多い。今回、クレージングを制御して用いて、ポリマー薄膜に色のアレイが作られた。

doi: 10.1038/d41586-019-01856-6

生化学:魚介毒を解毒する酵素

Enzymes that detoxify marine toxins p.315

貝類に見られる強力な微生物毒素は、創薬の出発点となる可能性があるが、生物学的試験には類似化合物が必要である。今回、毒素を修飾する酵素によって、こうした類似化合物を作る新たな方法が示唆された。

doi: 10.1038/d41586-019-01742-1

免疫学:炎症時の殺しのライセンス

A licence to kill during inflammation p.316

インフラマソームは、炎症や細胞死を駆動することによって感染と闘うタンパク質複合体である。今回、NEK7タンパク質が、NLRP3タンパク質を含むインフラマソームを形成する「ライセンス」を与えるらしいことが分かった。

doi: 10.1038/d41586-019-01764-9

Articles

気候科学:南極沖のポリニヤは南半球の気候異常に関連する

Antarctic offshore polynyas linked to Southern Hemisphere climate anomalies p.319

doi: 10.1038/s41586-019-1294-0

神経科学:SHANK3変異体カニクイザルにおける非典型的な行動と神経接続

Atypical behaviour and connectivity in SHANK3-mutant macaques p.326

doi: 10.1038/s41586-019-1278-0

神経科学:アルツハイマー病の単一細胞トランスクリプトーム解析

Single-cell transcriptomic analysis of Alzheimer’s disease p.332

doi: 10.1038/s41586-019-1195-2

免疫学:NEK7によってライセンスされたNLRP3インフラマソーム活性化の構造的機構

Structural mechanism for NEK7-licensed activation of NLRP3 inflammasome p.338

doi: 10.1038/s41586-019-1295-z

Letters

物性物理学:トポロジカル超伝導状態におけるクラインパラドックスに起因する完全アンドレーエフ反射

Perfect Andreev reflection due to the Klein paradox in a topological superconducting state p.344

doi: 10.1038/s41586-019-1305-1

材料科学:二硫化タングステンナノチューブにおいて増強されたpn接合のない光起電力効果

Enhanced intrinsic photovoltaic effect in tungsten disulfide nanotubes p.349

doi: 10.1038/s41586-019-1303-3

ナノスケール材料:カイラルな、ねじれたファンデルワールスナノワイヤー

Chiral twisted van der Waals nanowires p.354

doi: 10.1038/s41586-019-1147-x

ナノスケール材料:離散化されたEshelbyねじれを有するらせん状ファンデルワールス結晶

Helical van der Waals crystals with discretized Eshelby twist p.358

doi: 10.1038/s41586-019-1308-y

材料科学:ガラス状ポリマー簿膜における組織化されたマイクロフィブリル化を用いた構造色

Structural colour using organized microfibrillation in glassy polymer films p.363

doi: 10.1038/s41586-019-1299-8

流体力学:惑星核内の乱流対流の長さスケール

Turbulent convective length scale in planetary cores p.368

doi: 10.1038/s41586-019-1301-5

気候変動生態学:全球的な変化に駆動される、現代のプランクトン群集の産業革命以前の状態からの離脱

Global change drives modern plankton communities away from the pre-industrial state p.372

doi: 10.1038/s41586-019-1230-3

進化学:利己的な性染色体の配偶相手の選り好み

Mating preferences of selfish sex chromosomes p.376

doi: 10.1038/s41586-019-1271-7

細胞生物学:生殖系列ではミトコンドリアの断片化によって有害なmtDNAの選択的除去が駆動される

Mitochondrial fragmentation drives selective removal of deleterious mtDNA in the germline p.380

doi: 10.1038/s41586-019-1213-4

がんゲノミクス:がん患者に見られるゲノム規模での無細胞DNAの断片化

Genome-wide cell-free DNA fragmentation in patients with cancer p.385

doi: 10.1038/s41586-019-1272-6

構造生物学:市民科学者によるタンパク質のde novo設計

De novo protein design by citizen scientists p.390

doi: 10.1038/s41586-019-1274-4

分子生物学:ヘテロクロマチンが反転型の核と従来型の核の区画化を引き起こす

Heterochromatin drives compartmentalization of inverted and conventional nuclei p.395

doi: 10.1038/s41586-019-1275-3

構造生物学:時間分解クライオ電子顕微鏡を用いて可視化された細菌の翻訳開始の最終段階

Late steps in bacterial translation initiation visualized using time-resolved cryo-EM p.400

doi: 10.1038/s41586-019-1249-5

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