免疫学:STINGのTBK1との結合とTBK1によるSTINGリン酸化の構造基盤
Nature 567, 7748 doi: 10.1038/s41586-019-1000-2
哺乳類では、感染性病原体由来の微生物DNA、あるいは核やミトコンドリアからの自己DNAの細胞質への侵入は、宿主免疫系に警戒態勢をとらせる「危険信号」となる。サイクリックGMP–AMPシンターゼ(cGAS)は細胞質DNAを感知するセンサーで、I型インターフェロン経路を活性化する。cGASはDNAに結合すると活性化され、GTPとATPからのサイクリックGMP–AMP(cGAMP)合成を触媒する。cGAMPはセカンドメッセンジャーとして働き、STING(stimulator of interferon genes)に結合してこれを活性化する。次いでSTINGはTBK1(tank-binding kinase 1)を引き寄せて活性化し、これがSTINGと転写因子IRF3をリン酸化して、I型インターフェロンをはじめとするサイトカインを誘導する。しかし、cGAMPの結合したSTINGがTBK1やIRF3を活性化する仕組みは不明である。今回我々は、cGAMPが結合した完全長ニワトリSTINGと複合体を形成したヒトTBK1のクライオ(極低温)電子顕微鏡構造を明らかにした。この構造から、STINGのC末端尾部はβストランドに似たコンホメーションをとり、TBK1二量体の一方のTBK1サブユニットのキナーゼドメインともう一方のサブユニットのSDD(scaffold and dimerization domain)との間にある溝に、この尾部が差し込まれていることが分かった。こうした結合様式をとると、STING尾部にあるリン酸化部位のSer366は、結合しているTBK1のキナーゼドメインの活性部位に接触できない。このことから、TBK1によるSTINGのリン酸化には両方のタンパク質のオリゴマー化が必要だと考えられる。変異導入解析によってTBK1とSTINGとの結合様式が確認され、cGAMPによって引き起こされるSTINGとTBK1の高次のオリゴマー化がTBK1によるSTINGリン酸化につながるというモデルが裏付けられた。

