生物工学:直交性リボソームサブユニットの相互作用の制御は新しい機能の進化を可能にする
Nature 564, 7736 doi: 10.1038/s41586-018-0773-z
直交性リボソームは人工型のリボソームで、小サブユニットの16SリボソームRNA(rRNA)の改変型を介して大腸菌(Escherichia coli)の直交性メッセンジャーRNAへと誘導される。直交性リボソームを方向性をもって進化させることで新しいリボソーム機能が得られるようになり、こうして生じた直交性リボソームは複数の非カノニカルアミノ酸をタンパク質へと組み込むことができた。当初の直交性リボソームは、大サブユニット中に入れられている23S rRNAのプールを内在性リボソームと共有していた。直交性16S rRNAと23S rRNAとの結合を制御することによって、新しい23S rRNAを直交性mRNAへと誘導できれば、大サブユニット中に新しい機能を生じさせることができるかもしれない。これまでの研究で、直交性16S rRNAと順序を変えた環状23S rRNAとを共有結合により連結して低活性の直交性リボソームが作製されているが、このようなリボソームの連結されたサブユニットは互いに特異的に会合することがなく、内在性のサブユニットとの会合によって翻訳が行われている。今回我々は、先代の直交性リボソームに匹敵する活性を持つ「ステープル型」の改変型直交性リボソーム(サブユニット同士が、ホチキスの針の働きをする最適化したRNA鎖で連結されている)を作製した。これらは、内在性サブユニットとの会合が最小限に抑えられ、ステープル型のサブユニットとの会合を介して直交性mRNAの翻訳を行う。我々は、ゲノムにコードされたステープル型リボソームを唯一のリボソームとして持つ細胞を作り出した。この細胞はステープル型リボソームの働きによって、天然のリボソームを持つ細胞と同じ程度の速度で増殖した。さらに、ステープルでつながれたこの改変型リボソームの構造を、クライオ(極低温)電子顕微鏡を使って3.0 Åの分解能で可視化し、ステープルに当たるRNA鎖がサブユニットをつなぎ、その会合を制御する状況を明らかにした。我々は、天然のリボソームが本来的に翻訳できない一連の単量体から効率よく重合体を作れるステープル型直交性リボソームを作製することで、サブユニットの会合を制御することの有用性を実証した。今回の研究は、非カノニカルな生体ポリマーをゲノムにコードさせて細胞で合成するための完全な直交性リボソームのrRNAを作製する基盤となる。

