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がんゲノミクス:細胞系譜追跡によって明らかになった大腸がんでのT細胞の動的な関係

Nature 564, 7735 doi: 10.1038/s41586-018-0694-x

T細胞はがん免疫療法の重要な構成因子だが、腫瘍内でのT細胞の発達や遊走のようないくつかの基本的性質はまだ明らかになっていない。T細胞受容体(TCR)の膨大なレパートリーは、外来抗原や自己抗原の認識に必要であり、腫瘍内でこのようなT細胞を追跡するための細胞系譜タグとなる可能性がある。今回我々は、12人の大腸がん患者から1万1138個の単一T細胞のトランスクリプトームを得た。そして、異なる機能とクローン性を持つ20のT細胞サブセットを特定し、これらの間の動的な関係を定量的に解析するためにSTARTRAC(single T cell analysis by RNA sequencing and TCR tracking)インデックスという手法を開発した。CD8+のエフェクターT細胞および「疲弊した」T細胞は両方共に高度のクローン性増殖を示したが、これらは腫瘍常在性CD8+エフェクター記憶細胞とそれぞれ独立して関係付けられ、TCRに基づいた運命決定が考えられる。CD4+ T細胞については、ほとんどの腫瘍浸潤制御性T(Treg)細胞がクローン孤立性を示した一方で、一部のTreg細胞クローンは発達過程で複数のヘルパーT(TH)細胞クローンと関係付けられた。腫瘍内ではIFNG+ TH1様細胞クラスターが2つ見つかり、これらは別々のIFNγ調節性転写因子に関連していた。すなわち、EOMESとRUNX3に関係付けられたGZMK+エフェクター記憶T細胞と、BHLHE40に関係付けられたCXCL13+BHLHE40+ TH1様細胞クラスターである。マイクロサテライト不安定性腫瘍を持つ患者では、CXCL13+BHLHE40+ TH1様細胞のみが選択的に集積していて、これはこの種の腫瘍の免疫チェックポイント阻害に対する望ましい応答の説明となるかもしれない。さらに、IGFLR1はCXCL13+BHLHE40+ TH1様細胞とCD8+疲弊T細胞の両方で高度に発現しており、共刺激機能があることが分かった。このSTARTRACという統合的解析法は、大腸がんにおけるT細胞の性質を包括的に分析するための強力な手法となり、他のがんでのT細胞の動的な関係についての手掛かりを得るのに役立つ可能性がある。

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