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生化学:パラジウムを介した酵素活性化から示唆されるグリコーゲン生合成開始の多相性
Nature 563, 7730 doi: 10.1038/s41586-018-0644-7
ヒト、動物、菌類に不可欠なグルコース(従ってエネルギー)貯蔵分子であるグリコーゲンの生合成は、糖転移酵素グリコゲニン(GYG)によって開始される。グリコーゲン形成の障害は、神経変性疾患や代謝疾患の原因となり、GYGをノックアウトしたマウスやヒトの遺伝的GYG変異ではグリコーゲンの合成が損なわれる。GYGは、自身の段階的自己グルコシル化を触媒することによって、グリコーゲン粒子生成の「シードコア」として働き、開始部位Tyr195において、共有結合したグルコオリゴ糖鎖を形成する。触媒と基質の両方の働きをする特殊なこのタンパク質は、均一なグリコフォームが得られなかったため、これまで精密な機構研究ができなかった。今回我々は、タンパク質上でのC–C結合形成を用いたパラジウムを介した酵素活性化「シャント」過程を通して、均一にグルコシル化した異なる状態のGYGを初めて直接合成できたことを示す。GYG中間体を入念に模倣することで、異なる段階の触媒活性が再現され、ひいてはGYGの糖基質利用における3相からなる速度論的過程と基質可塑性が発見された。これによって、この代謝過程の正確さの根拠となる寛容な「校正」機構が明らかになった。活性酵素の中間体状態が化学的制御によって直接合成できるという今回の実証は、そうした連結依存的な活性化が機構研究における強力な手段となる可能性があることを示唆している。

