Article

がん:治療用T細胞を脳腫瘍へ向かわせるホーミング系

Nature 561, 7723 doi: 10.1038/s41586-018-0499-y

脳腫瘍のT細胞免疫療法を成功させるには、T細胞を腫瘍組織へ到達させることが必要だが、その実現は難しかった。本論文では、内皮細胞がICAM1やVCAM1の発現を上昇させて炎症促進性細胞の管外遊出を誘導する多発性硬化症のような炎症性脳疾患とは対照的に、がんの内皮細胞はこれらの分子の発現を低下させて、免疫認識を回避することを示す。一方、がん内皮ではALCAM(activated leukocyte cell adhesion molecule)の発現が上昇しており、ALCAM限定的なホーミング系(HS)を作製すれば、がんの免疫回避機構を克服できることが分かった。我々は、ALCAMの天然リガンドであるCD6を再設計した。これによりT細胞のALCAMへの最初の足場形成が引き起こされ、がん内皮細胞上の低レベルICAM1に対するT細胞の感受性が高まり、接着の第二波を条件的に仲介して、その結果、血流からT細胞を捉えるために必要な接着力が生まれる。細胞毒性HS T細胞は、静脈内注射後に脳腫瘍へロバストに浸潤し、強力な抗腫瘍活性を示した。以上より、我々はT細胞の送達を脳腫瘍へ向かわせる分子を開発した。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度