量子物理学:2つの論理量子ビット間における量子ゲートの決定論的テレポーテーション
Nature 561, 7723 doi: 10.1038/s41586-018-0470-y
古典コンピューターでは解くことが難しい問題も、量子コンピューターでは効率的に解ける可能性がある。しかし、現実世界の量子系には誤りや雑音が存在するため、大規模量子プロセッサーの構築は困難である。この難題に取り組む方法の1つとして、モジュール化が考えられる。この戦略は、自然界や工学分野において複雑系をロバストに構築するために、頻繁に用いられている。こうした方法では、小型の特殊な構成要素を組み立てて、より大型のアーキテクチャーを作ることによって、複雑さと不確実さに対応する。この考えを受けて、異なる量子系を通信チャネルで接続して量子ネットワークを形成するモジュール型量子アーキテクチャーの開発が進められている。このアーキテクチャーでは、エンタングルする量子ゲートのテレポーテーション操作が万能量子計算に不可欠なツールでだが、そうしたテレポーテーションはこれまで決定論的操作としては実現されていなかった。今回我々は、制御NOT(CNOT)ゲートのテレポーテーションを実験的に実証し、実時間の適応制御によってテレポーテーション操作を決定論的に行ったことを報告する。さらに我々は、2論理量子ビット(キュービット)間でゲートを実行し、超伝導共振器の量子状態において量子情報を冗長に符号化することで、誤り訂正可能でロバストなモジュールの実装に向けて重要な一歩を踏み出した。今回テレポーテートしたゲートは、そうした誤り訂正可能な符号化を用いることで79%のプロセス忠実度を達成した。ゲートのテレポーテーションはフォールトトレラントな量子計算に関係し、ネットワーク内で実現された際には、量子通信、量子計測、量子シミュレーションへの幅広い応用が見込まれる。今回の結果は、論理キュービット上でマルチキュービット演算を実装するための説得力のある方法を例示するとともに、量子誤り訂正プロトコルと組み合わせれば、モジュール型アーキテクチャーを用いるフォールトトレラントな量子計算への有望な道筋を示すものである。

