幹細胞:Notch–コラーゲンV–CALCRによる相互のシグナル伝達により筋幹細胞がそのニッチで保持される
Nature 557, 7707 doi: 10.1038/s41586-018-0144-9
細胞の微小環境は、幹細胞の維持に重要であり、分泌された増殖因子や細胞外マトリックスなどの、細胞および非細胞の両方の構成要素を含んでいる。Notchなどのシグナル伝達の経路は幹細胞の静止状態を調節することがこれまでに報告されているが、幹細胞ニッチを維持する分子群の組成や供給源はほとんど分かっていない。今回我々は、成体マウスの筋衛星(幹)細胞が細胞外マトリックスのコラーゲンを産生して、細胞自律的に静止状態を維持することを示す。ChIP–seq(chromatin immunoprecipitation followed by sequencing)を用いて、特定の複数のコラーゲン遺伝子に隣接する、NOTCH1/RBPJが結合する調節エレメントを突き止め、このようなコラーゲン遺伝子群の発現はNotch変異マウスでは異常を来すことを明らかにした。その上、Col5a1遺伝子の条件付き欠失によるコラーゲンV(COLV)の除去は、異常な細胞周期進入と幹細胞プールの緩やかな減少につながるので、衛星細胞が産生するCOLVは静止状態のニッチの重要な構成要素であることが分かった。特筆すべきは、COLVと衛星細胞の相互作用はカルシトニン受容体によって仲介され、COLVはカルシトニン受容体の局所の代理リガンドとして機能することである。カルシトニン誘導体の全身投与は、COLV欠損衛星細胞に見られる静止状態や自己複製の異常を救済するのに十分であった。この研究から、Notch–COLV–カルシトニン受容体シグナル伝達カスケードが衛星細胞を細胞自律的に静止状態に維持することが明らかになり、さまざまな幹細胞集団において同様の相互機構が機能している可能性が浮上した。

