材料科学:耐久性、耐コーキング性、耐硫黄性が高く多様な燃料に対応できるプロトンセラミック燃料電池
Nature 557, 7704 doi: 10.1038/s41586-018-0082-6
プロトンセラミック燃料電池は、より高い温度で動作する固体酸化物燃料電池と同様に、水素燃料と炭化水素燃料の両方を直接使用して50%以上の効率で発電できる可能性がある。これまでの直接炭化水素燃料電池の研究の大半は、酸素イオン伝導性電解質を用いる固体酸化物燃料電池に重点を置いていたが、そうした燃料電池を炭化水素や硫黄を含んだ燃料で直接動作させると、炭素析出(コーキング)や硫黄被毒が起こることが多く、時間とともに性能が大幅に劣化する。複数の研究で、炭化水素燃料を用いるプロトンセラミック燃料電池における優れた性能と耐コーキング性が示唆されているが、長期耐久性は系統的に調べられていなかった。今回我々は、水素、メタン、家庭用天然ガス(硫化水素を含むものと含まないもの)、プロパン、n-ブタン、i-ブタン、イソオクタン、メタノール、エタノール、アンモニアという合計11種類の燃料を用いて、500~600°Cの温度で、プロトンセラミック燃料電池の長期試験を行った結果を報告する。複数の電池について6000時間以上にわたって試験を行ったところ、全ての燃料で、電池の構成や構造を変えることなく非常に優れた性能と耐久性(大半の事例で劣化が1000時間につき1.5%未満)が実証された。また、これらの電池は大きな温度変動に耐え、数千時間の連続動作後もコーキングは見られなかった。さらに、低温燃料電池にとっても高温燃料電池にとっても有害であることが知られている硫黄を商業用燃料と同じレベルで供給しても、プロトンセラミック燃料電池の性能に影響はなさそうに見受けられた。今回のプロトンセラミック燃料電池で実証された燃料柔軟性と長期耐久性は、この技術の有望性と商業的応用の可能性を浮き彫りにしている。

