代謝:グルコースは循環血中の乳酸を経由してTCA回路に入る
Nature 551, 7678 doi: 10.1038/nature24057
哺乳類の組織は循環血中の栄養素をエネルギー源にしており、そうした栄養素にはグルコース、アミノ酸などのさまざまな中間代謝物質が含まれる。好気的条件下では、グルコースは組織でトリカルボン酸回路(TCA回路)を介して二酸化炭素にまで完全燃焼されると広く考えられている。しかしグルコースは解糖により嫌気的に異化されて乳酸になることがあり、こうした乳酸自体が組織や腫瘍の栄養源になる可能性がある。循環血中の乳酸などの代謝中間体が、燃料としてどの程度の量寄与しているかは解明されていない。今回我々は、マウスで循環血中の代謝産物の流量を系統的に調べ、乳酸がTCA回路の主要な炭素源、すなわち主要なエネルギー源となり得ることを見いだした。13C-標識した栄養素を静脈内に注入したところ、乳酸の血中代謝回転量が、モルベースで見ると全代謝産物中で最も多く、餌を与えられているマウスではグルコースの1.1倍を超え、絶食中のマウスでは2.5倍を超えた。乳酸は主としてグルコースから生じるが、他の供給源からも生じる。餌を与えられているマウスと絶食中のマウスの両方の全ての組織で、TCA回路の中間体は13C-乳酸によって広く標識されていた。定量的解析から、絶食状態では脳以外の全ての組織で、TCA回路による代謝に対するグルコースの寄与は主として間接的であって、血中の乳酸を経由していることが明らかになった。絶食状態のマウスの肺と膵臓のがん腫瘍(遺伝子組換えによる)では、循環血中の乳酸のTCA回路中間体への寄与はグルコースのそれを超えていて、膵臓がんではグルタミンが乳酸よりも大きく寄与していた。従って、解糖とTCA回路は乳酸のレベルで脱共役していて、ほとんどの組織および腫瘍では循環血中の主要なTCA基質は乳酸となっている。

