がん:パルミトイル化に依存するMC1R活性化は黒色腫発生を防止する
Nature 549, 7672 doi: 10.1038/nature23887
Gタンパク共役受容体であるメラノコルチン1受容体(MC1R)は、ヒトやマウスで色素沈着に重要な役割を担っている。α-メラノサイト刺激ホルモン(α-MSH)によるメラノサイトでのMC1Rの活性化は、cAMPシグナル伝達とメラニン産生を刺激し、紫外線照射後のDNA修復を増強する。MC1Rのバリアント、中でも赤毛、色白、日焼けしにくさと結び付けられるバリアント(RHCと呼ばれる)を持つ個体はとりわけ、黒色腫発症リスクが高くなるとされている。しかし、MC1Rの活性化が紫外線照射により調節される仕組みや、赤毛の個体が黒色腫を発症しやすい理由、また、治療目的でRHCバリアントの活性を復活させることが可能かどうかは知られていない。今回我々は、MC1Rを標的とする治療的介入戦略候補の1つがマウスで治療効果を示すことを実証した。この方法では、MC1Rタンパク質のパルミトイル化の活性化によって、MC1R RHCバリアントの機能喪失型MC1Rの機能を復活させる。MC1Rのパルミトイル化は主にプロテインアシルトランスフェラーゼZDHHC13を介して起こり、MC1Rシグナル伝達の活性化に必須であって、シグナル伝達はin vitroおよびin vivoで色素沈着増加、紫外線B誘導性G1様細胞周期停止、細胞老化と黒色腫発生の制御を引き起こす。我々は、Mc1r RHCバリアントを発現するC57BL/6J-Mc1re/eJマウス(内在性MC1Rが早期終結型である)を用い、パルミトイル化を薬理学的に活性化させると、Mc1r RHCバリアントの異常が救済されて、黒色腫発生が防止されることを明らかにした。これらの結果は、色素沈着と黒色腫の防御にMC1Rパルミトイル化が重要な役割を持つことを明確に示している。

