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がん:リンパ管ニッチの全身画像化から明らかになったミッドカインが転移前に果たす役割

Nature 546, 7660 doi: 10.1038/nature22977

皮膚黒色腫は本来的にリンパ節に転移増殖しやすいがんで、転移の前に普通はリンパ管新生が起こる。しかし、センチネルリンパ節を除去しても、黒色腫患者の全生存期間は必ずしも延びない。また、黒色腫の進行に従ってリンパ管は崩壊し、機能しなくなる。そのため、リンパ管新生が内臓転移に関わっているのかどうか、またどのように関わるのかは、明らかになっていない。黒色腫患者では、腫瘍やその間質から分泌される可溶性タンパク質や小胞結合タンパク質が前転移部位の条件を整えると考えられているが、リンパ管新生に関わる因子の実体や予後に与える影響は不明である。その上、離れた前転移ニッチのライブ画像化に適したマウスモデルがないことも、黒色腫や他のタイプの腫瘍でのリンパ管新生を解明する妨げとなっている。注射用のリンパ管トレーサーが開発されているが、拡散に限界があるため、内臓部位での全身画像化は不可能である。血管内皮増殖因子受容体3(VEGFR3)は、正常な成体リンパ管内皮細胞では発現が強く抑制されているが、炎症やがんのような病的状態で活性化されるので、「リンパ管レポーター」として関心を集めている。今回我々は、VEGFR3のこの誘導性を利用して、ヒト細胞、臨床生検組織、発がん経路の内因的脱調節による転移を調べるための、全身画像化用黒色腫モデルマウスを作製した。この方法により、原発巣でのリンパ管新生とは無関係に、離れた前転移ニッチの形成誘発が早期に起こることが明らかになった。黒色腫セクレトームの解析と臨床試料での検証から、ヘパリン結合因子ミッドカインがリンパ管新生の全身性誘発因子であり、これが患者の予後を決めることが判明した。ミッドカインのこの役割は、リンパ管内皮細胞でのmTOR経路のパラクリン型活性化に関係している。これらのデータは、VEGFR3レポーターマウスが転移ドライバーや転移阻害因子を探索するシステムのプラットフォームとして使用できることを裏付けている。

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