微生物学:界を超えた模倣はポックスウイルスキナーゼによるリボソーム改造の基礎である
Nature 546, 7660 doi: 10.1038/nature22814
リボソームは、特定のRNAエレメントの認識を可能にする自身の構成の変化を介して、翻訳を選択的に制御する能力を持つ。しかし、発生の際のサブユニット発現の差異の他にも、個々の細胞内においてリボソームの特殊化が調節されている証拠はまだ得られていない。今回我々は、ポックスウイルスキナーゼが、ヒトのリボソーム小サブユニットに含まれるタンパク質であるRACK1(receptor for activated C kinase)のセリン/スレオニン残基をリン酸化することを報告する。これらの残基は非感染細胞あるいは他のウイルスに感染した細胞ではリン酸化されていない。これらの修飾された残基はRACK1の外に伸びたループに密集しており、それらの残基のリン酸化によって、アデノシン反復配列、いわゆるポリAリーダーを含む5′非翻訳領域を持つウイルスmRNAあるいはレポーターmRNAの翻訳が選択される。構造解析および系統発生学的解析から、RACK1は高度に保存されているが、このループは可変性があり、植物では負に帯電したアミノ酸を含んでいて、これらのリーダーが翻訳のエンハンサーとして機能することが明らかになった。リン酸化の模倣(phosphomimetics)や種間キメラから、RACK1ループの負電荷がリボソームの選択性をウイルスRNAに向かわせることが分かった。ポックスウイルスは、ヒトRACK1を荷電した植物のような状態に変換することで宿主リボソームを改造し、これによってウイルスRNAポリメラーゼのすべりによって誤って作り出されたアデノシン反復配列が翻訳で有利になる。我々の知見は、界を超えた模倣によるリボソーム改造や、ポックスウイルスのポリAリーダーの基礎となる種特異的リーダー活性の機構を理解するための手掛かりとなる。

