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物性物理学:トポロジカル半金属リン化モリブデンにおける3成分フェルミオンの観測
Nature 546, 7660 doi: 10.1038/nature22390
場の量子理論では、ローレンツ不変性から、3種類のフェルミオン、すなわちディラックフェルミオン、ワイルフェルミオン、マヨラナフェルミオンの存在が導かれる。高エネルギー物理学においては、素粒子としてワイルフェルミオンとマヨラナフェルミオンが存在するかは議論の的となっているが、凝縮物質系では、波長の長い低エネルギー準粒子励起として3種類のフェルミオン全てが存在すると提唱されている。凝縮物質系におけるディラックフェルミオンとワイルフェルミオンの存在は実験的に確認されており、マヨラナフェルミオンの存在にはさまざまな実験による裏付けがある。しかし、凝縮物質系では、結晶中のフェルミオンは、ローレンツ不変性ではなく、230の結晶空間群の対称性によって制約されており、高エネルギー物理学には相当するものがない別種のフェルミオン励起が見つかる可能性も生まれている。今回我々は、角度分解光電子分光法を用いて、リン化モリブデン結晶の電子構造において3重縮退点が存在することを実証する。3重縮退点近傍の準粒子励起は3成分フェルミオンであり、ディラックフェルミオンは4重縮退点に、ワイルフェルミオンは2重縮退点に起因すると考える従来のディラック–ワイル–マヨラナという分類の枠を超えたものである。我々はまた、リン化モリブデン結晶のバルクの電子構造において、この3成分フェルミオンと共存するワイル点の対も観測した。従って、リン化モリブデンは、異なる種類のフェルミオンの相互作用を調べるプラットフォームとなる。今回の実験的発見は、凝縮物質系における非従来型フェルミオンの新しい物理を探る道を開くものである。

