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細胞周期:がん細胞の生存におけるサイクリンD3–CDK6キナーゼの代謝機能
Nature 546, 7658 doi: 10.1038/nature22797
D型サイクリン(D1、D2、D3)と、それらに結合したサイクリン依存性キナーゼ(CDK4およびCDK6)は、細胞増殖を推進する中核的な細胞周期制御装置の構成因子である。CDK4やCDK6の阻害剤は、現在複数種のがんの患者で臨床試験が進行中で、有望な結果が得られつつある。今回我々は、ヒトがん細胞とマウスでの患者由来異種移植片を用いて、サイクリンD3–CDK6キナーゼが、解糖系の2つの重要な酵素、6-ホスホフルクトキナーゼとピルビン酸キナーゼM2をリン酸化して、その触媒活性を阻害することを明らかにする。これによって、解糖系の中間体がペントースリン酸(PPP)経路とセリン経路へと振り向けられる。腫瘍細胞でサイクリンD3–CDK6を阻害すると、PPP経路とセリン経路への流れが減り、それによって抗酸化物質であるNADPHとグルタチオンが大幅に減少する。さらに、これにより活性酸素種レベルが上昇して腫瘍細胞のアポトーシスを引き起こす。サイクリンD3–CDK6複合体を高レベルで発現している腫瘍では、サイクリンDに結合したキナーゼの生存促進機能が働いている。ヒトがんでサイクリンD3–CDK6のレベルを測定すれば、CDK4とCDK6の阻害により細胞死と腫瘍退縮を起こす腫瘍を見分けるのに役立つと考えられる。サイクリンD3–CDK6は、細胞周期と細胞の代謝を結び付けることができるため、複数のレベルでがん細胞に影響を及ぼすとりわけ強力ながんタンパク質であり、この特性は抗がん治療に利用できる可能性がある。

