免疫学:転写因子T-betを発現している制御性T細胞の安定性と機能
Nature 546, 7658 doi: 10.1038/nature22360
適応免疫応答は、さまざまなタイプの病原体に合わせて調整されている。こうした調整は、ナイーブCD4 T細胞の、機能的に異なるエフェクターT細胞サブセット[1型ヘルパーT(TH1)、TH2およびTH17細胞]への分化を介して行われ、各サブセットの機能はそれぞれ、重要な転写因子T-bet、GATA3およびRORγtの発現によって規定される。制御性T(Treg)細胞は、X染色体連鎖性転写因子Foxp3によって指定された独特な抗炎症性細胞系列を構成している。矛盾するようだが、活性化したTreg細胞の一部は、前述のエフェクターCD4 T細胞が持つ転写因子を発現していて、それがTreg細胞の抑制能を増強することが示唆されている。Treg細胞でのこれらの因子の発現は、エフェクターT細胞の場合と同様に、機能的に異なる多様で安定な分化状態を示しているのか、あるいは分化状態が容易に可逆変化し得るのかは、分かっていない。今回我々は、マウスTreg細胞では、TH1関連転写因子T-betの定常状態および感染後に誘導された発現が、徐々に非常に安定となること、それは非許容状態下にあっても同様であることを明らかにする。T-betを発現しているTreg細胞の機能喪失もしくはこの細胞の除去により、重篤なTH1自己免疫が生じたが、Treg細胞でのT-bet発現の遮断では同様な結果は生じなかった。逆に、T-bet− Treg細胞を除去した後には、残存しているT-bet+細胞は、これらがT-bet+エフェクターT細胞と共局在する際と一致して、TH1およびCD8 T細胞の活性化を特異的に阻害した。以上の結果は、T-bet+ Treg細胞が重要な免疫抑制機能を持つことを示唆しており、またTreg細胞の機能的不均一性が免疫学的寛容の非常に重要な特徴であることを示している。

