Letter
神経科学:ゼブラフィッシュ幼生の脳全体の連続切片電子顕微鏡解析
Nature 545, 7654 doi: 10.1038/nature22356
高分解能の連続切片電子顕微鏡法(ssEM)は、神経回路を形成する軸索、樹状突起およびシナプスの密な網目構造の研究を可能にする。しかし、これらの構造の包括的な再構成に必要な画像化スケールは、相互接続するニューロンのネットワーク(中にはほぼ脳全体に広がるものもある)が占める空間的広がりよりも10桁以上小さい。大容量なものについてのデータをナノスケールの分解能で生成して扱うことは難しく、そのため、脊椎動物での神経回路研究は断片的にしか行われてこなかった。最近、これらの取り組みは、計算性能や、試料の取り扱い、画像化技術の進歩により変貌を遂げてきているが、脳全体の高分解能の解析はいまだに難しい課題である。本研究で我々は、受精後5.5日のゼブラフィッシュ(Danio rerio)幼生の脳全体のssEMデータを示す。我々の手法では、異なるスケールで標的画像化を複数回行うことで、取得時間とデータ管理要件を軽減した。ここで得られたデータセットの解析により、神経突起の再構成が可能になり、全ての有髄軸索(プロジェクトーム)を調べることができるようになる。これらの再構成により、ニューロンの形態を正確に調べることができるようになり、有髄の網様体脊髄路軸索と側線求心性軸索における顕著な左右相称性が明らかになった。我々はさらに、同一標本から機能参照アトラスとin vivoの二光子蛍光顕微鏡データを共に登録することで、脳全体の構造と機能を比較する準備を整えた。得られた全ての画像と再構成情報は、オープンアクセスリソースとして公開している。

