地球科学:貫入性火成活動が制御していた初期地球の大陸地殻形成
Nature 545, 7654 doi: 10.1038/nature22042
プレートテクトニクスが始まる前の初期地球で動いていた全球的地球ダイナミクスの状況はいまだ議論が続いている。地質学的データと地球化学的データは、現在の地球に比べて始生代のマントル温度が高く、初生火成活動がより激しかったことを示唆しており、メルト噴出効率が異なる2種類の地殻–マントル相互作用のモードが提案されている。1つは、火山活動が支配的である木星の衛星イオに似たヒートパイプ型テクトニクスであり、もう1つは、金星のダイナミクスに適用されると考えられている、貫入性火成活動が支配的な「深成柔軟リッド(Plutonic squishy lid)」型テクトニクスである。どちらの型のテクトニクスも、始原的トーナル岩–トロニエム岩–花崗閃緑岩(TTG)大陸地殻を生成し得るが、さまざまなTTG組成の割合だけでなく、リソスフェアの地温と地殻生成速度が大きく異なるので、ヒートパイプ仮説と深成柔軟リッド仮説は自然のデータを用いて検証できると示唆される。今回我々は、火成過程に伴う全球の熱化学的対流の自己無撞着数値モデルを用いて、始原的TTGに似た大陸地殻の生成を調べた。その結果、火山活動が支配的なヒートパイプ・テクトニクスモデルは、低い地殻地温をもたらし、地球に似た始原的大陸地殻を生成できないことが示された。対照的に、貫入性火成活動が支配的な深成柔軟リッド型テクトニクスは、高い地殻地温をもたらし、観測されたさまざまなTTG岩の割合を再現できた。さらに我々は、系統的なパラメーター研究を用いて、40%以下という現在の典型的な噴出効率で、野外データからこれまでに報告されている3種類の主要な始原的地殻組成(低圧TTG、中圧TTG、高圧TTG)の推定量を生成できることを示す。従って、今回の研究は、プレートテクトニクス前の始生代地球では、全球が、イオに似たヒートパイプ型ではなく深成柔軟リッド型で動いていたことを示唆している。

