免疫学:抗原特異的制御性T細胞によるHLA関連自己免疫の優性保護
Nature 545, 7653 doi: 10.1038/nature22329
I型糖尿病、多発性硬化症やグッドパスチャー病などのヒト自己免疫疾患に対する感受性と保護は、特定のヒト白血球抗原(HLA)対立遺伝子に関連している。しかし、自己寛容におけるHLAを介したこのような影響を支える機構は明らかになっていない。今回我々は、IV型コラーゲンα3鎖(α3135–145)由来のCD4+ T細胞に対する免疫優性自己エピトープを特徴とするHLA関連自己免疫性腎疾患であるグッドパスチャー病の分子機構を調べた。HLA-DR15が疾患リスクを顕著に増加させる一方で、保護的HLA-DR1対立遺伝子は、HLA-DR15に対してトランスに優性保護的に働く。我々は、グッドパスチャー病患者では自己反応性α3135–145特異的T細胞が増殖すること、α3135–145で免疫したHLA-DR15トランスジェニックマウスではα3135–145特異的T細胞が腎臓に浸潤し、マウスがグッドパスチャー病を発症することを示す。HLA-DR15とHLA-DR1はペプチドのレパートリーと結合優先性に違いを示し、また異なる結合配列(binding register)でα3135–145エピトープを提示する。HLA-DR15トランスジェニックマウスにおけるHLA-DR15-α3135–145四量体+ T細胞は、炎症性サイトカインを分泌する典型的なT細胞表現型(Tconv)を示す。これに対して、HLA-DR1およびHLA-DR15/DR1トランスジェニックマウスにおけるHLA-DR1-α3135–145四量体+ T細胞は、もっぱら寛容原性のサイトカインを発現するCD4+Foxp3+制御性T(Treg)細胞である。HLA-DR1誘導性Treg細胞は、HLA-DR15/DR1トランスジェニックマウスで疾患に対する抵抗性を与える。HLA-DR15+およびHLA-DR1+ヒト健常ドナーは、α3135–145特異的T細胞抗原受容体の利用が変化しており、それぞれHLA-DR15-α3135–145四量体+ Foxp3− TconvおよびHLA-DR1-α3135–145四量体+ Foxp3+CD25hiCD127lo Tregが優性な表現型を示す。さらに、グッドパスチャー病患者は、クローン増殖されたα3135–145特異的CD4+ T細胞レパートリーを示す。このように我々は、HLA多型が自己免疫の保護もしくは原因をもたらす自己エピトープ特異的Treg細胞の相対的存在数を調節するという、自己免疫疾患におけるHLAの優性保護効果の機構的基盤を提示する。

