構造生物学:コアメディエーターの3.4 Å分解能での構造により拡張された転写開始複合体モデル
Nature 545, 7653 doi: 10.1038/nature22328
メディエーターは転写開始前複合体(PIC)に結合し、RNAポリメラーゼ(Pol)IIを調節する多タンパク質コアクチベーターである。メディエーターの頭部モジュールと中間部モジュールは、機能に不可欠なコアメディエーター(cMed)部分を形成するが、尾部モジュールとキナーゼモジュールは調節の役割を担っている。メディエーターの構成とそのPIC上での位置は知られているが、原子レベルでの詳細が明らかになっているのはメディエーターのサブ複合体に限られている。今回我々は、分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)由来の15個のサブユニットからなるcMedの3.4 Å分解能での結晶構造を報告する。その構造から、変化が起こっていない頭部モジュールが示された。我々はまた、入り組んだ中間部モジュールの構造を明らかにし、これが転写に広く必要とされることを示す。メディエーターの既知の変異部位は、頭部モジュールと中間部モジュール間の界面と、中間部モジュールをつなぎ止めている頭部サブユニットのMed6とMed17の末端領域に集まっていることが分かった。この構造は、コアPIC(cPIC)の3.6 Å分解能の低温電子顕微鏡構造と組み合わせることが可能な出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)のcMedのモデルにつながった。結果として得られたcPIC–cMed複合体の原子モデルから、中間部ジュールを形成しているサブモジュール(beam、knob、plank、connector、hookと呼ばれる)の相互作用について情報が得られる。hookは保存されたヒンジによりメディエーターと柔軟に結合しており、Pol IIのカルボキシ(C)末端ドメイン(CTD)をリン酸化し、最近PIC上に位置することが分かった転写開始因子IIH(TFIIH)と接触している。hookはCTDと架橋する残基も含んでおり、メディエーターの構造中の以前にcradle(受け台)と命名された領域に位置している。これらの結果は、TFIIHによるCTDリン酸化の促進に果たす役割などのメディエーター機能の解明のための枠組みを与えるものである。

