Letter
細胞生物学:ミトコンドリアNa+/Ca2+交換輸送体はCa2+恒常性と生存能力に不可欠である
Nature 545, 7652 doi: 10.1038/nature22082
ミトコンドリアのカルシウム(mCa2+)は、代謝調節にも細胞死シグナル伝達にも中心的な役割を担っているが、恒常性機能や疾患における役割は議論が分かれている。Slc8b1はミトコンドリアNa+/Ca2+交換輸送体(NCLX)をコードしており、興奮性細胞におけるmCa2+排出の最も重要な機構であるとされている。今回我々は、成体マウスの心臓でタモキシフェンによりSlc8b1の欠失を誘導すると突然死を引き起こし、これらのマウスの14日生存率は13%未満であることを示す。致死性は重度の心筋機能不全および激症型の心不全と相関した。機構としては、心臓の病変はmCa2+過負荷によるスーパーオキシドの発生の増加やネクローシス細胞死の増加によって引き起こされ、これはミトコンドリア透過性遷移孔の活性化を遺伝学的に抑制することで救済された。これらの知見の裏付けとして、条件的遺伝子導入によりマウスの心臓でNCLXを過剰発現させると、mCa2+排除を増大させる有益な効果がもたらされ、透過性遷移を防いで、虚血誘発性の心筋細胞ネクローシスや心不全から保護した。これらの結果は、細胞機能におけるmCa2+排出の重要性を示し、また、mCa2+排出を増大させることが現実的な疾患治療戦略となり得ることを示唆している。

