進化学:バージェス頁岩の化石が示す大顎類ボディープランの起源
Nature 545, 7652 doi: 10.1038/nature22080
節足動物の進化史をたどることは、生物学における極めて重大な課題の1つである。過去10年間で、形態データおよび分子データについて行われた複数の系統発生学的解析の結果から、最も多様で数の多い動物群である大顎類は、この分類群の構成種が食物の処理に特化した口後の頭部付属肢(特に大顎)を有する点で、鋏角類とは別のクレードであるという結論がまとまりつつある。しかし、多足類、甲殻類および六脚類に共通して見られる大顎類ボディープランの起源については、ほとんど報告されていない。今回我々は、5億800万年前のマーブル・キャニオン化石堆積層(バージェス頁岩、カナダ・ブリティッシュコロンビア州)に由来する、大型の二枚貝様節足動物の新属新種Tokummia katalepsisについて報告し、この節足動物が、大顎および顎脚といった大顎類の明確な共有派生形質だけでなく、内突起を持つ分節化された基節および環状の体節などの甲殻類に典型的な形質を有することを示す。Tokummiaおよびそれに最も近縁なBranchiocaris(修正後のProtocarididaeに分類)には、二葉性の器官と見られるものを内包する最前部構造があり、これは上唇の起源が付属肢であることを裏付けている可能性がある。protocaridid類は、CanadaspisおよびOdaraia(修正後のHymenocarinaに分類)と共に、拡大された大顎類クレードの一部として戻され、所属が不確かなこれらの二枚貝様タクソンが他の類縁型と共に真節足動物の最基部に位置するという考えは否定される。今回のhymenocarine類から、基節の分節化および近接内突起の存在が、大顎類の底節構造および亜底節構造の進化に不可欠な祖先的条件であったと考えられることが示された。カンブリア紀の大顎類の基部に位置するさまざまなクレードの幼生に甲殻形類の形質が認められることは、ステム群節足動物内に異なる複数の個体発生ニッチが存在したことを示す証拠と再解釈できる。従って、幼生はカンブリア紀の形態的新規性の重要な供給源になっていたと考えられ、これが異時性の過程を経て、クラウン群的形質の迅速な獲得、ひいては真節足動物の初期放散における大きな進化速度に寄与した可能性がある。

