Letter
材料科学:高強度マグネシウム合金を実現する手段としての二相ナノ構造化
Nature 545, 7652 doi: 10.1038/nature21691
「理想的な」理論強度を示す材料を作製することは容易でない。材料の強度を高める方法の大半は、欠陥制御による転位運動の阻害に基づいているが、そうした方法には欠点がある。例えば、工業用の単相ナノ結晶合金や単相金属ガラスは、強度が非常に高くなる可能性があるものの、比較的小さいひずみ(2%未満)で、単相ナノ結晶合金は逆ホール・ペッチ効果によって、単相金属ガラスは剪断帯の形成によって軟化することが多い。今回我々は、ナノ結晶性による強化と非晶質化による強化の利点を組み合わせて、室温でしかも試料のサイズ効果なしに、強度が理想に近い二相材料を作製する手法を報告する。今回のマグネシウム合金系は、ナノ結晶コアを非晶質ガラスシェルに埋め込んだもので、得られた二相合金材料の強度は3.3 GPaと理想に近く、過去最高強度のマグネシウム合金薄膜である。我々は、転位がほとんど無い直径約6 nmの粒からなる結晶相がひずみ下で局所剪断帯の伝搬を阻止するという、構成式モデリングで裏付けられた機構を提案する。さらに、出現した剪断帯内では、埋め込まれた結晶粒が分断されたり回転したりして硬化に寄与し、剪断帯による軟化の影響に対抗している。

