Letter

遺伝学:体細胞変異から明らかになったヒト初期胚における非対称性細胞動態

Nature 543, 7647 doi: 10.1038/nature21703

体細胞は個体の生涯を通して変異を獲得する。胚発生初期に起こる変異は、出生後のヒトの細胞の全てではないものの、かなりの割合に存在することが多いため、特定の性質や影響を持つ。これらのモザイク変異は、ゲノム中の位置やそれらが存在する細胞の割合に依存して、さまざまな遺伝性疾患症候群の原因となったり、保因者の発がんリスクを高めたりする。それらはde novoの生殖系列変異として子孫へ伝えられる可能性が高く、原則としてヒト初期胚の細胞系譜と、それらの成体組織への寄与についての手掛かりをもたらし得る。ヒト初期胚では、大規模染色体異常が非常によく見られることが知られているが、初期胚での体細胞変異についての我々の知識は非常に限られている。本研究で我々は、241人の健常成人から得た血液で全ゲノム塩基配列解読を行い、163個の初期胚変異を明らかにした。我々の見積もりでは、ヒト初期胚発生における細胞の1度の倍加事象につき、1細胞当たり約3つの塩基置換変異が起こり、これらは主に2つの既知の変異シグネチャーに起因していた。これらの変異を用いて成体細胞の発生系譜を再構成したところ、初期胚での多くの細胞倍加事象において、2つの娘細胞が成体の血液に対しておよそ2:1の割合で、非対称的に寄与することが分かった。従って本研究は、ヒト初期胚発生で働く細胞動態について、その変異率や変異過程、発生への影響に関する手掛かりをもたらす。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度