がん:アロステリック阻害剤ABL001によって可能になった、2種類の薬剤によるBCR–ABL1のターゲッティング
Nature 543, 7647 doi: 10.1038/nature21702
慢性骨髄性白血病(CML)は、腫瘍性BCR–ABL1融合タンパク質の作用によって発症する。ABL1キナーゼの阻害剤によりCML患者の臨床転帰は改善され、イマチニブを投与された患者では80%以上が10年以上生存する。第二世代のABL1キナーゼ阻害剤は、それまで未治療のCML患者とイマチニブ抵抗性を示すCML患者の両方で、イマチニブより強力な分子応答を誘導する。慢性期のCML患者での研究により、BCR–ABL1転写産物が検出されなり、さらにその状態を少なくとも2年間維持した患者の約50%は、治療を中止しても再発が見られないことが示されている。今回我々は、ABL1の強力で選択性の高いアロステリック阻害剤ABL001(asciminib)の特徴を調べた。ABL001は現在、CML患者とフィラデルフィア染色体陽性(Ph+)の急性リンパ芽球性白血病患者で臨床試験が行われている。キナーゼの触媒部位に作用するABL1阻害剤とは対照的に、ABL001はABL1のミリストイル基が入り込むポケットに結合し、キナーゼの不活性なコンホメーション形成を誘導する。ABL001と第二世代の触媒部位阻害剤は、細胞での効果はよく似ているが、抵抗性変異のパターンは異なっていて、遺伝子バーコーディング法を使った研究により、既存のクローン集団でABL001抵抗性と触媒部位阻害剤ニロチニブ抵抗性を共有するものはないことが分かった。このようなプロファイルと一致して、マウスでは1種類の薬剤による治療では獲得抵抗性が見られたが、ABL001とニロチニブを併用するとCMLの完全な制御が可能になり、この治療方法で根絶されたCML異種移植片は治療中断後も再発しなかった。

