ナノスケール材料:直接合成したゼオライトナノシートから得られた極めて選択的なハイフラックス膜
Nature 543, 7647 doi: 10.1038/nature21421
MFI構造型のゼオライトは、細孔ネットワークが三次元的に連結したアルミノケイ酸塩材料やケイ酸塩材料で、0.5~0.6 nmの範囲のサイズの分子認識を可能にする。こうした微小細孔の寸法は、多くの有用な化学中間体に適しているため、MFI型ゼオライトは選択的な触媒や吸着剤として化学工業で幅広く使われている。他の全てのゼオライトと同様に、特定の用途向けにMFI型ゼオライトを調製する戦略には、結晶のサイズと形状の制御が伴う。ナノメートル厚のMFI結晶(ナノシート)を、柱状アーキテクチャーや自己柱状(連晶)アーキテクチャーに導入して、特定の吸着用途や触媒用途向けに物質移動特性が改良されている。さらに、連晶でも層状でもない単一のナノシートを使って、分離プロセスのエネルギー効率の改善に使用できる可能性のある薄膜が作られている。しかし、これまで単一MFIナノシートは、層状MFIを剥離し、次に剥離していない粒子を遠心分離で除去する多段階法を使って作られてきた。このトップダウン法は、時間と費用がかかり、収率が低く、横方向寸法がサブマイクロメートルの断片化したナノシートを生じる。これに代わる直接(ボトムアップ)合成法では、アスペクト比の高いゼオライトナノシートを収率を改善しつつ、より安価に生成できる可能性がある。今回我々は、単一の回転連晶をきっかけにするナノ結晶を種とした結晶成長法を使って、厚さが5 nm(2.5単位胞)でアスペクト比の高いMFIナノシートを合成した。こうしたアスペクト比の高いナノシートによって、多孔質基板を効率よく覆う、薄くて欠陥のない被膜の作製が可能になる。この被膜を連晶に成長させて、既存のMFI材料から作った他のMFI膜(剥離したナノシートやナノ結晶)に勝る、極めて選択的なハイフラックスMFI膜を作製できる。

