Letter
環境科学:食料の国際貿易に内包された地下水の枯渇
Nature 543, 7647 doi: 10.1038/nature21403
近年の水文モデルと地球観測によって、全世界で地下水の枯渇が憂慮すべき速度で進行している地域が特定・定量化されている。地下水の枯渇は、灌漑のための取水に主に起因するが、灌漑の主な駆動要因である全球規模の食料消費との関連はまだ調べられていない。本論文では、灌漑のための再生不可能な地下水利用の約11%が食料の国際貿易に内包されており、パキスタン、米国、インドだけでその約3分の2を輸出していることを示す。我々は、再生不可能な地下水の作物のみに関わる全球規模の取水の見積もりと食料の国際貿易データを組み合わせて、世界の食料貿易に内包されている地下水の枯渇を定量化した。世界人口の大半は、ほとんど全ての主要作物を、そうした作物を生産して地下水を枯渇させる相手国からの輸入によって調達している国々に住んでおり、食料と水の全球規模の安全保障に対するリスクを浮き彫りにしている。米国、メキシコ、イラン、中国などの一部の国々は、急速に枯渇する帯水層から灌漑して食料を生産するとともに輸入もしているため、こうしたリスクに特にさらされている。今回の結果は、こうした生産物の最終消費者だけでなく、優先的な配慮が必要な地域とリスクにさらされている農業生産物を特定することによって、全球規模の食料生産と地下水資源の管理の持続可能性の向上に役立つ可能性がある。

