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細胞生物学:機械的伸展はPiezo1を介して上皮細胞の迅速な分裂を開始させる

Nature 543, 7643 doi: 10.1038/nature21407

上皮細胞は、臓器を覆って障壁として機能するが、体の中では代謝回転速度が最も速いものの1つである。しかし、障壁機能を保持しながら腫瘍形成を防ぐためには、上皮細胞の分裂と細胞死が密接に関連していなければならない。死にゆく細胞の数をそうした分裂にマッチさせて一定の細胞数を維持する仕組みはどのようなものだろうか。上皮細胞は密集し過ぎると、伸展活性化チャネルPiezo1を活性化させて細胞の押し出しを引き起こし、押し出された細胞は後に死に至る。しかし定常状態で、上皮細胞の分裂がどのように制御されて細胞死とのバランスを取っているのかは解明されていない。今回我々は、哺乳類の上皮細胞の分裂は、細胞が伸展していて細胞密度の低い領域で起こることを示す。実験的に上皮を伸展させることにより、機械的な伸展自体がPiezo1チャネルの活性化を介して迅速に細胞分裂を誘発することが分かった。細胞分裂を誘発するために、伸展は、G2期早期で停止している細胞のカルシウム依存性ERK1/2のリン酸化を活性化し、それによって細胞の有糸分裂の誘導に必要なサイクリンBの転写が活性化する。定常状態では、上皮細胞の分裂と細胞の押し出しのどちらもがPiezo1を必要とするが、機械的な力の種類によって結果が変わってくる。つまり、伸展は細胞分裂を引き起こすが、密集は細胞の押し出しを誘導するのである。Piezo1は細胞密度の上昇に伴って、異なる細胞内部位に蓄積するので、Piezo1依存的なカルシウムトランジェントが2つの相反する過程をどのように活性化するかは、Piezo1がどこでどのように活性化されるかに依存している可能性がある。細胞分裂が起こる細胞が疎な上皮領域では、Piezo1は細胞膜および細胞質に局在するが、細胞の押し出しが起こる細胞過密領域では、Piezo1は細胞質で大きな凝集体を形成する。Piezo1は機械的な細胞の密集と伸展の両方を感知するため、恒常性センサーとして働いて上皮細胞数を制御し、細胞が密集した領域では細胞の押し出しとアポトーシスを、細胞が疎な領域では細胞分裂を引き起こしているのだろう。

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