Letter
免疫学:CRISPR/Cas9によるCARのTRAC座位へのターゲッティングは腫瘍拒絶反応を増強する
Nature 543, 7643 doi: 10.1038/nature21405
キメラ抗原受容体(CAR)は、T細胞を再指令および再プログラム化することで腫瘍拒絶反応を媒介する合成受容体である。これまでに用いられたCARで最も成功したのは、CD19を標的にしたものであり、化学療法抵抗性あるいは再発性のB細胞悪性腫瘍の患者において、完全寛解の見通しが立っている。通常、患者のT細胞へのCARの導入には、γ-レトロウイルスベクターもしくは他のランダムに挿入されるベクターを用いるため、クローン性の増殖や発がん性形質転換、導入遺伝子発現のばらつき、および転写サイレンシングが起こる可能性がある。ゲノム編集の最近の進歩により、ヒトの細胞における効率の良い塩基配列特異的介入が可能になり、CCR5やAAVS1座位を標的とした遺伝子導入が行われている。今回我々は、CD19特異的CARをTRAC(T-cell receptor α constant)座位に導入することで、ヒト末梢血T細胞におけるCARの発現が均一になるだけでなく、T細胞機能も増強されることを明らかにする(編集した細胞は、急性リンパ芽球性白血病のマウスモデルにおいて、従来の手法で作製したCAR T細胞より非常に性能が良い)。さらに、CARのTRAC座位へのターゲッティングは、持続性のCARシグナル伝達を防ぎ、抗原への単回もしくは反復暴露後のCARの効率的なインターナリゼーションと再発現を確立し、エフェクターT細胞の分化と疲弊を遅らせることを示す。これらの知見は、CARの免疫生物学的性質を明らかにし、CRISPR/Cas9ゲノム編集により免疫療法が進展する可能性を強調している。

