生物工学:未培養微生物から見つかった新しいCRISPR–Cas系
Nature 542, 7640 doi: 10.1038/nature21059
CRISPR–Cas系は、Casタンパク質を誘導して外来DNAを切断するスペーサーと呼ばれる短いDNA配列を用いて、微生物に適応免疫を付与する。クラス2のCRISPR–Cas系は合理化されたタイプで、標的配列を認識および切断するのは単一のRNA結合型Casタンパク質である。こうした最小限の系はプログラム可能な性質を持つため、多用途の技術として利用することができ、生物学的研究や臨床研究に広く大改革をもたらしている。しかし、現在のCRISPR–Cas技術は単離された細菌の系のみを基盤としており、未培養の生物に由来する酵素の大部分は利用されていない。天然の微生物群集から直接抽出したDNAの塩基配列解読を行うメタゲノミクスから、膨大な数の未培養生物の遺伝物質が利用可能になっている。今回我々は、ゲノム分解能のメタゲノミクスを用いて、多数のCRISPR–Cas系を明らかにする。これには、我々の知る限り初めての、生物のアーキアドメインのCas9の報告が含まれている。この非標準的なCas9タンパク質は、活性なCRISPR–Cas系の一部として、ほとんど研究されていないナノアーキアに見つかった。細菌では、これまで知られていなかった、CRISPR–CasXおよびCRISPR–CasYという2つの系が見つかり、これらは今まで発見された中では最もコンパクトな系である。特に、必要な全ての機能的構成要素がメタゲノミクスで見つかったため、大腸菌(Escherichia coli)でロバストなin vivo RNAガイドDNA干渉活性の検証が可能になったことは重要である。環境微生物群集の調査をin vivoの実験と組み合わせることで、前例のないほど多様なゲノムを利用することが可能になり、その内容によって微生物を基盤とするバイオテクノロジーのレパートリーが拡大するだろう。

