惑星科学:時系列画像による月面上のクレーター生成とレゴリス攪拌の定量化
Nature 538, 7624 doi: 10.1038/nature19829
彗星や小惑星、それらの破片によるランダムな爆撃は、月のレゴリスや岩石表面を形成し変化させる。衝突クレーターの経時的な累積は、地質的構成単位の相対年代を評価する際に必須な情報である。クレーターの数と月から持ち帰られた試料の放射年代から、月や他の太陽系天体で試料の採取されていない構成単位の絶対モデル年代を決めるための制約が得られる。存在するクレーターや持ち帰られた試料の研究からは、クレーター形成過程と過去のクレーター生成率についての知見が得られるが、現在のクレーター生成率、衝突初期段階の噴出の効果、および中心から遠い放出物がレゴリスに与える影響については疑問が残っている。今回我々は、ルナー・リコネサンス・オービター・カメラ(LROC)の1つ、挟角カメラ(NAC)で撮影された経時的な画像ペア(クレーター形成の「前と後」)を使って、月面上での現在のクレーター生成率を定量化し、衝突によって生じる噴出のこれまで解明されていなかった詳細を明らかにして、レゴリスを急速に攪拌する二次衝突過程を特定した。この一連の時系列データセットから、我々は222個の新しい衝突クレーターを検出し、直径が10 m以上のクレーターが、月の標準的なNeukumの生成・年代学関数から予想されるよりも33%多いことを見いだした。我々は新しいクレーターと関係する広大な反射域を特定した。これは表面に結合した噴出過程の証拠であると考えられる。さらに我々は、二次的なクレーター生成過程を観測し、この過程によってレゴリス上層2 cmが8万1000年の時間スケールで攪拌されると推定した。これは、隕石衝突から見積もられる従来のモデル(1000万年)よりも100倍以上速い。

