心血管疾患:出生時体重と、その成人病との相関についてのゲノム規模関連研究
Nature 538, 7624 doi: 10.1038/nature19806
出生時の体重(BW)は胎児側の因子と母体側の因子の両方の影響を受けることが分かっており、観察研究により、将来的に2型糖尿病(T2D)や心臓血管病をはじめとする成人の代謝性疾患のリスクに結び付くことが再現性よく示されている。この一生にわたる結び付きは、生後早期の健康に不都合な環境の影響が原因とされることが多い。今回我々は、15万3781人のBWについて、複数祖先集団ゲノム規模関連研究(GWAS)のメタ解析を行い、胎児の遺伝子型とBWが関連する座位を60か所明らかにした(P < 5 × 10−8)。全体としては、BWの分散の約15%が胎児の遺伝的変動の分析によって捉えられた。また遺伝的関連だけを用いることにより、BWと収縮期血圧との間(Rg = −0.22、P = 5.5 × 10−13)、またT2Dとの間(Rg = −0.27、P = 1.1 × 10−6)、冠動脈疾患との間(Rg = −0.30、P = 6.5 × 10−9)に強い逆相関関係があることを見いだした。さらに大規模なコホートデータセットを用いることにより、遺伝的要因が、BWと将来の心血管代謝リスクとの負の共分散に大きく寄与していることを明らかにした。パスウェイ解析から、BWに関連した領域内にある遺伝子のタンパク質産物は、インスリンシグナル伝達、グルコース恒常性、グリコーゲン生合成、クロマチンリモデリングといった多様な過程に集中的に関わっていることが示された。また、既知のインプリンティング領域もBWとの関連がとりわけて高くなっていた(P = 1.9 × 10−4)。これらにより、初期の成長表現型と成人の心血管代謝疾患との間の一生にわたって見られる関連が、ある程度までは共通の遺伝的作用によるものであることが明らかになり、この遺伝的作用に関わる経路の一部も突き止めることができた。

