材料学:原子スケールの精度で作製された毛細管による分子輸送
Nature 538, 7624 doi: 10.1038/nature19363
ナノメートルスケールの細孔や毛細管は、多くの自然現象において重要であるとともに多くの用途に使用されているため、長年にわたって研究されてきた。より最近の進展は、ナノメートル寸法の人工毛細管を作製できるようになったことであり、これによって分子輸送に関する新しい研究が可能になり、ナノ流体工学の出現につながった。しかし、特に表面粗さのせいで、毛細管の寸法をナノメートルの空間スケールで精密に制御して作製することは困難である。今回我々は、ファンデルワールス集合を通して細く滑らかな毛細管を作製したことを報告する。この毛細管は、原子レベルで平坦なシートがスペーサーで上下に隔てられた構造であり、スペーサーは層数を精密に制御した二次元結晶でできている。我々は、典型的な二次元材料としてグラフェンと多層グラフェンを用いて、この技術を実証した。この構造体は、あたかもバルク結晶から一枚一枚の原子面を取り除いて、原子スケールの精度で所望の高さの平坦な空隙を残したかのように見なすことができる。原子面1枚から数十枚分の高さのチャネルを通した水の輸送には、予想外に流れが速い(最高で1 m s−1)という特徴がある。この高速流は高い毛細管圧(約1000 bar)と長いすべり長に起因すると我々は考える。わずか数層の水を含んだチャネルでは、流れが著しく強くなっており、我々はこの現象をナノ空間に閉じ込められた水の構造的秩序の増大と関連付けている。今回の研究は、オングストローム精度でサイズを調節でき、チャネル壁に利用可能な、原子レベルで平坦な材料をさまざまに選択することによって透過特性をさらに制御できる、毛細管や空洞を作製する可能性を開くものである。

