Article
集団遺伝学:オーストラリア・アボリジニのゲノム史
Nature 538, 7624 doi: 10.1038/nature18299
オーストラリアの先住民であるアボリジニ集団の歴史の特徴は、ほとんど明らかになっていない。今回我々は、オーストラリア・アボリジニ(パマ・ニュンガン語族の話者)83人およびニューギニア島高地のパプア人25人について、高カバー率のゲノム塩基配列を得た。パプア人の祖先とオーストラリア・アボリジニの祖先は4万~2万5000年前に分岐したことが分かり、現在のオーストラリア大陸、ニューギニア島およびタスマニア島を含んでいた古代大陸であるサフル大陸の、完新世以前の集団構造が示唆された。しかし、今回調べたオーストラリア・アボリジニの人々は全て、約3万2000~1万年前に他の集団から分かれた単一の創始者集団に由来していた。我々は、完新世(過去1万年間)のオーストラリア北東部での集団の広がりが、この地域からオーストラリアの他地域への限定的な遺伝子流動と関連していたと推論する。このことは、パマ・ニュンガン諸語の広がりとも一致する。オーストラリア・アボリジニおよびパプア人は、単一の出アフリカ分散事象の後、7万2000~5万1000年前にユーラシア人から分岐し、その後、古代人集団と混合したと推測される。さらに、おそらく砂漠での生活に伴い、オーストラリア・アボリジニ集団に掛かったと見られる選択の証拠も得られた。

