構造生物学:電位依存性Ca2+チャネルのCa2+アンタゴニストによる抑制の構造的基盤
Nature 537, 7618 doi: 10.1038/nature19102
Ca2+アンタゴニスト(拮抗薬)は心血管疾患の治療に広く使われている。心臓と血管平滑筋の筋細胞に存在する電位依存性Ca2+(CaV)チャネル群中で最も重要なCaV1.2チャネルには、3つの別々だがアロステリックに相互作用する受容体部位があり、そこに化学的に異なる3種類の薬剤が結合する。1,4-ジヒドロピリジン類は主に高血圧と狭心症の治療に使われ、電位依存性Ca2+チャネル活性化のアロステリック修飾因子として作用すると考えられているが、フェニルアルキルアミン類とベンゾチアゼピン類は主に心臓不整脈の治療に使われ、チャネル小孔を物理的にふさぐとされている。これらの薬剤の結合や作用の様式、また治療への使用はそれぞれ異なるが、その構造的基盤はまだ分かっていない。今回我々は、CaVチャネルのホモ四量体モデルである細菌のCaVAbへの薬剤の結合の結晶学的および機能的解析について報告する。このチャネルは、ジヒドロピリジン類とフェニルアルキルアミン類により、ナノモルの親和性で状態依存な様式により抑制される。アムロジピンなどのジヒドロピリジン類の結合部位は小孔モジュールの外側の脂質に面した表面に存在し、2つのサブユニットの境界面に位置している。ジヒドロピリジンの結合は選択性フィルターの非対称的コンホメーションをアロステリックに誘導し、フィルターには部分的に脱水和したCa2+が1つのサブユニットに直接結合して小孔をふさいでいる。これとは対照的に、フェニルアルキルアミン類のBr-ベラパミルは小孔の中央のキャビティに結合し、選択性フィルターの細胞内側に位置して、イオン透過経路を物理的にふさいでいる。重要なアミノ酸残基を構造を基盤として変異させることで、この両方の部位での薬剤結合が確証された。今回の結果は、ジヒドロピリジンとフェニルアルキルアミンがCaVチャネルの異なる受容体部位に結合する際の構造的基盤を明らかにしており、これらの薬剤の基本的な作用機作と心血管疾患治療への使用の差異に関する重要な手掛かりを与えるものだ。

