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生体材料:修飾分子によって病理的な結晶成長阻害の機構が明らかになる

Nature 536, 7617 doi: 10.1038/nature19062

軟体動物の殻、骨基質、ウニの歯、円石藻の外骨格における結晶物質は、生物の機能に不可欠である。しかし、異常なバイオミネラリゼーションは、ヒトの疾患と関連する望ましくない結晶化過程となることがある。生物起源物質や天然物質、合成物質の結晶成長は、修飾剤の作用によって調節される可能性がある。修飾剤は、一般に阻害剤であり、小イオンや小分子から巨大分子まで多岐にわたる。阻害剤は、結晶表面に吸着して溶質の付加を妨げ、これによって成長速度が低下する。バイオミネラリゼーションにおける阻害剤と結晶の複雑な相互作用は、十分解明されていないことが多い。今回我々は、シュウ酸カルシウム一水和物の結晶化の分子阻害剤、すなわちクエン酸塩とヒドロキシクエン酸塩の2つは、結晶成長速度を低下させるのではなく、結晶表面への阻害剤吸着によって特定の条件下で結晶溶解を生じさせるという点で、古典理論と異なる機構を示すことを明らかにする。この現象は、阻害剤濃度が溶質濃度よりも3桁低い過飽和溶液でも起こる。バルク結晶化、in situ原子間力顕微鏡観察、密度汎関数理論研究の結果は、阻害剤と結晶の相互作用に起因して結晶格子に局所ひずみが生じ、シュウ酸イオンとカルシウムイオンが溶液中に放出されてこのひずみが緩和されるという仮説と定性的に一致した。シュウ酸カルシウム一水和物はヒトの腎臓結石の主成分であり、クエン酸塩はよく用いられる治療薬だが、ヒドロキシクエン酸塩はそうではなく、ヒドロキシクエン酸塩が腎臓結石治療薬として働くためには、尿中に排出される必要がある。我々は、結石を有していないヒトにおいて、よく推奨される投与量で摂取したヒドロキシクエン酸塩は、かなりの量が尿中に排出されることを報告する。ヒトの尿を用いたin vitro試験で、修飾分子ヒドロキシクエン酸塩が、クエン酸塩と同程度に効果的なシュウ酸カルシウム一水和物の核形成阻害剤であることが明らかになった。今回の知見は、クエン酸塩に代わる腎臓結石治療薬としてのヒドロキシクエン酸塩の臨床的可能性の探求を支持するものである。

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