Letter
ウイルス学:HIV-1はキャプシド中の動的性質を持った小孔を使ってヌクレオチドを運び込み、キャプシド内部でのDNA合成の原料とする
Nature 536, 7616 doi: 10.1038/nature19098
HIV-1の感染初期段階では、そのキャプシドはウイルス成分を細胞質内のcGASのようなDNAセンサーやTREXのようなヌクレアーゼから守っているが、ヌクレオチドの接近は許容する。これは効率的な逆転写を行うためである。本論文では、キャプシドの六量体それぞれが、6個のアルギニン残基からなる環が結合したサイズ選択的な小孔とアミノ末端のβヘアピンによって形成された「分子絞り」を持つことを示す。このアルギニンの環は強い正電荷を帯びたチャネルを作り出し、これが拡散限界に近い速度で4種類のヌクレオチドを取り込む。小孔のアルギニン残基を段階的に取り除いていくと、取り除いた数に応じて、ヌクレオチド親和性、逆転写、感染性が同時に低下していく。正電荷を持つこのチャネルは、電荷の反発に対抗するヌクレオチドがないと強い不安定性をもたらすにもかかわらず、レンチウイルスのキャプシドでは広く保存されている。我々はまた、ヘキサカルボキシベンゼンが、キャプシドと競合してヌクレオチドと結合し、キャプシド内での逆転写を効率よく阻害するチャネル阻害剤であることも明らかにし、この小孔が新規な薬剤標的として扱いやすいことを実証した。

