Letter
構造生物学:哺乳類呼吸鎖複合体Iの構造
Nature 536, 7616 doi: 10.1038/nature19095
複合体I(NADH:ユビキノン酸化還元酵素)は、細胞に含まれる最も大きな膜結合酵素の1つで、NADHの還元力を用いてミトコンドリア内膜を介してプロトンを輸送することで、哺乳類ミトコンドリアでATP合成を駆動する。哺乳類の複合体Iは45個のサブユニットからなり、そこには触媒装置となる14個のコアサブユニット(細菌からヒトまで保存されている)と、哺乳類特異的な31個の「補助的」なサブユニット群が含まれる。補助的サブユニット群についての構造や機能の情報は断片的である。本論文では、ウシ(Bos taurus)由来の複合体Iの4.2 Å分解能での単粒子低温電子顕微鏡構造について報告する。我々は31個の補助的サブユニットを含めて、45個のサブユニット全ての位置を明らかにしてモデル化を行い、哺乳類複合体の全体構造を得た。計算による粒子分類により、わずかなドメイン移動に関連付けられるさまざまな構造分類群が明らかになった。こうした分類によって、コンホメーションが動的な領域が明らかになり、これは低酸素条件下で起こる「活性状態から不活性状態への」酵素の遷移の生化学的記述と適合する。従って、我々の構造は、複合体Iの組み立てと、疾病と関係する複合体I機能不全の原因となる変異の影響を理解するための基盤を明らかにしており、補助的サブユニット群の構造的および機能的な役割に関する手掛かりを与え、また触媒機構とその調節に関する新たな情報を明らかにしている。

